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02シミュレーションによる可視化

2022.07.27

山越え気流の数値シミュレーション

風が山を越えることで起こりうる現象のいち考察。
簡単のため、数値は全て無次元化(Fiは内部フルード数、Θは温位)を行っている。

1.フルード数と山越え気流
まずは風の強さが山越え気流に及ぼす影響を調べる。
下図は空間3次元(X-Y-Z)モデルの計算結果からY軸中央断面内を示したX-Zグラフ。
安定成層内にて、フルード数を変えて比較した。

風が弱い(Fi << 1)場合は、風上から出発した風はほぼ直線的に進み、山の背後には到達できない。
風が強い(Fi >> 1)場合、風は山を越えた後、山によって乱されていく様子(乱気流)がわかる。

2.山岳波に伴う雲
強風が吹く時、山越え気流により発生する雲を調べる。
下図は上記と同じモデルに水蒸気を入れて計算したY軸中央断面内のX-Zグラフでフルード数2.0での結果。

流線が波を打っているところに厚い雲が存在。
上昇気流で雲が発生し、下降気流では消滅している様子がうかがえる。

3.大気の安定度とおろし風
山脈の風下側に強風(おろし)が吹く時、大気の下層には気温の逆転層が存在することが多い。
下図は鉛直2次元(X-Z)モデルでの計算結果。
左から少し強めの風Uを流入させ、山を越えた時の流れの状態(流線)を大気の安定度を変えて比較した。

逆転層を模擬した安定成層では、山頂から風下側で流線が込み合った(強風が吹いた)後に跳ね水現象が生じている。

4.フェーンとボラ
下図は鉛直2次元(X-Z)モデルでの計算結果。
安定成層内にて、おろしの代表格、フェーンとボラを内部フルード数1.0の近傍で比較した。


両者の違いは、山の高さ(Hm)と寒気層の厚さ(Hc)との比を用い単純化することで特徴づけられる。
フェーンは暖気が吹き下り高温に、ボラは寒気が吹き下るためほとんど昇温しない。

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