大気大循環 / 傾圧不安定波 | 株式会社スノーキャスト
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大気大循環 / 傾圧不安定波

大気大循環に伴って発生する傾圧不安定波のメカニズムは簡単な室内実験によって再現可能である事が既に知られている。これは、内側と外側の間に温度差を与えた円筒水槽を回転させると、水槽内で駆動された熱対流と回転に伴う慣性力のバランスに応じて波動を生じるというものである。これは熱源を有する赤道側で上昇流を生じ、冷源を有する極地方で下降流を生じるものと考え、熱対流と回転に伴うCoriolisの力の相互作用を考慮したものである。
そこで本解析では、上記実験に倣い一定の回転角速度で回転し続けながら半径方向に温度勾配を与えられた二重円筒形状容器を考え、その内部に充填された試験流体の熱流動の数値シミュレーションを独自に開発し、波動の再現を試みた。

図1・ 実験装置のイメージ

図1・ 実験装置のイメージ

図1に実験装置(数値モデル)の概要を示す。実験装置は二重円筒で構成されており、内側の円筒を冷源とし、外側の容器内に試験流体が充填されるものとする。 更に外側の容器の周囲には一様な熱源が分布するものとする。試験流体は幅Δr=r1-r0、高さz、円周2πr0~2πr1の 空間を動く事ができるものであり、内側からは冷源による冷却作用、外側からは熱源による加熱作用を常に受け続ける。さらにこの実験装置全体を、2つの円筒 容器の中心軸を回転軸とし一定角速度ωで回転させるものである。そして、この実験装置全体を一定角速度で反時計回りに回転させる。

図2・ 初期条件・境界条件の概要

図2・ 初期条件・境界条件の概要

初期条件・境界条件の概要を図2に示す。壁面摩擦を受けない場合vθは単純にvθ=rωに従うため、最外周で極大となる。しかし、実際には壁面摩擦を受けるので内壁面および最外周壁面上ではθ方向の速度は0にならなければならない。また、初期状態においてはこの境界条件を満足する発達した流れを想定するため、結局vθ(r)は、r方向に放物状の速度分布を成すものと仮定する。また、温度に関する境界条件は、内側円筒に相当するr≦r0は冷源であるためT=Tc、最外周壁面に相当するr=r1は熱源であるためT=Thである。初期条件は、r0≦r≦r0+Δr/2では試験流体が冷却されているためT=T0とし、r0+Δr/2≦r≦r1では試験流体が加熱されているためT=T0+ΔTとする。

  
図3.数値シミュレーション結果(左から温度と等温線、温度と流れ、渦度と流れ)

 図3は数値シミュレーション結果。 図2では波数5の熱ロスビー波が形成されているのが分かる。波が中心に向かって盛り上がる位相(リッジ)の右側では時計回り、左側では反時計周りの渦が形 成されている。一方、中心から遠ざかる位相(トラフ)ではこれとは反対の構造になっている。また図3より、正渦度域(ζ>0)と負渦度域 (ζ<0)が交互に形成されている事が分かる。従って、トラフの右側(リッジの左側)では正渦度循環、リッジの右側(トラフの左側)では負渦度循環 が形成される現象が解析された。

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